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福岡地方裁判所 昭和60年(わ)285号 判決 1985年6月19日

本店の所在地

福岡県筑紫野市大字針摺八番地

法人の名称

有限会社筑紫野物産研究所

代表者の住居

福岡県筑紫野市大字針摺八番地一

代表者の氏名

直江昶

本籍

福岡市中央区極樂町二八番地

住居

福岡県筑紫野市大字針摺八番地一

職業

会社役員

直江昶

昭和二年一月一五日生

右有限会社筑紫野物産研究所及び直江昶に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官武部正三出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人直江昶を懲役一年六月に、被告人有限会社筑紫野物産研究所を罰金三〇〇〇万円に、各処する。

被告人直江昶に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社筑紫野物産研究所は、福岡県筑紫野大字針摺八番地に本店を置き、食品の製造販売等を目的とする資本金二、〇〇〇万円の有限会社であり、被告人直江昶は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人直江昶は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、仕入原材料費を架空計上するなどして、簿外の預金、割引債券を蓄積するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億六、七〇四万五、〇二〇円あったのにかかわらず、同五七年五月二九日、福岡県筑紫野市大字二日市七〇八の五所在の筑紫税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、三七九万四、八四八円で、これに対する法人税額が一、三〇六万六、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額六、九〇三万二、三〇〇円と右申告税額との差額五、五九六万五、五〇〇円を免れ

第二  昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億七、五〇二万一、八八三円あったのにかかわらず、同五八年五月二八日、前記筑紫税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七、七五二万六、二八三円で、これに対する法人税額が三、一四七万四、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額七、二四二万二、六〇〇円と右申告税額との差額四、〇九四万七、九〇〇円を免れ

第三  昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が九、六六八万九、〇七九円あったのにかかわらず、同五九年五月二九日、前記筑紫税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六、五八九万九、五四九円で、これに対する法人税額が二、六五三万六、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三、九四六万七、九〇〇円と右申告税額との差額一、二九三万一、八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人直江昶の当公判廷における供述

一、被告人直江昶の検察官(二通=検42、43号)、大蔵事務官(八通=検34ないし41号)に対する各供述調書

一、直江和代(九通=検8ないし16号)、吉田保夫(八通=検17ないし24号)、萬キミ子(三通=検25、26、27号)、高月篤(検28号)、荒瀬進(検29号)、鈴木正義(検30号)、井上保昌(検31号)、塚邊澤治(検32号)、荒木音恵(検33号)の大蔵事務官に対する各供述書

一、検察事務官作成の「法人税確定申告書の写し作成について」と題する書面(検3号)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検7号)

一、登記官作成の登記簿謄本(検2号)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検4号)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検5号)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検6号)

(法令の適用)

被告人直江昶につき

罰条 いずれも法人税法一五九条一項(いずれも懲役刑選択)

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)

執行猶予 刑法二五条一項

被告人有限会社筑紫野物産研究所につき

罰条 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

よって、主文のとおり判決する。

昭和六〇年六月二九日

(裁判官 中野久利)

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